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深夜の階段

小さな影が深夜の階段をそろりそろりと降りていく。

「どこへ行くの?甚平!」
ジュンの白鳥・・いや鶴の一声に甚平はその場に立ち止まった。

「い、いやぁそのぅ・・ほ、ほらクリスマスだし・・お姉ちゃんに何かプレゼントを・・」
シドロモドロの甚平にジュンが詰め寄る。

「なんですって?ウソおっしゃい。リュックサックに荷物をいっぱい詰めて、ど・こ・へ・行・く・つ・も・り・な・の?」

「あ~、おっかねぇ。普段もっとアニキがお姉ちゃんの乙女心をくすぐるようなプレゼントでもしていれば・・」

その言葉にジュンの眉毛がますますつり上がる。

「はぐらかさないで!」

と、つかみかかったリュックのふたが開いて一通の手紙がジュンの足元に落ちた。
「なぁに、これ?」
「あ、あのぅ・・それはですね・・つまり・・」
取り返そうと甚平が伸ばした腕をぴしゃりとはねのけてジュンはその手紙を読んだ。

「『ママへ』・・ですって??」
「・・その・・ショースケン王国へ行こうと思って・・」
うなだれる甚平を見てジュンは何も言えなくなった。

そしてその続きを読み始める。
「オイラ、ジンペイです。ママ、あの時はゴメンよ。オイラ科学忍者隊に助けてもらったんだけど、ちょっとケガをしていて口がきけなかったんだ。でももう今は元気さ。だからプレゼントと手紙を置いて行きます。科学忍者隊がギャラクターをみんなやっつけたら会いに行くから、その時まで元気にしててね。メリークリスマス、ジンペイより」

ビリジアングリーンの瞳がうるんでいた。
「気をつけていって来るのよ、甚平・・」

その時だ。
二人の揃いのブレスレットが鳴った。
姉弟は顔を見合わせると風のようにスナック・ジュンから夜の街へと飛び出して行った。



(おわり)




があわいこさんは、「深夜の階段」で登場人物が「くすぐる」、「手紙」という単語を使ったお話を考えて下さい

・・というお題で書いてみました。

実は今年はクリスマスフィクは書かないつもりでいたのですが、このお題をいただいたらフト浮かんでしまいました。
なのであまり推敲していません。

おかしいところはご容赦ください。
また、ご指摘くだされば幸いです。

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早朝のベッド

街外れにある小さな飛行場に新しい朝が来た。
早朝のベッドの上でふっと目が覚めるとすぐそばでお前の寝息が聞こえる。

1万メートルもの深海でお前が思いだしたこと。
それを俺はしばらくこの胸に仕舞っておくことにする。

それにしても夕べは飲みすぎたな。それだけお前の心の傷は深いのだろうか。
嗚咽を漏らすお前を俺はただ抱きしめることしかできなかった。
10年近くそばにいたのに知らないことばかりだったな。




朝倉 淳さんは、「早朝のベッド」で登場人物が「抱きしめる」、「傷」という単語を使ったお話を考えて下さい。

・・という淳さんへのお題をお借りして久しぶりにBLっぽいやつを書いてみました

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昼の映画館

恋愛ものの映画に誘った私も悪かったが、真昼の映画館でやっぱり彼は大いびきだ。
終わる頃にやっと目覚めて、「命と引き換えに地球を救ったヒーロー」になった夢を見ていたという。

嘘をつくならもう少しマシなものにしてよね




があわいこさんは「昼の映画館」で登場人物が「嘘をつく」「ヒーロー」という単語を使ったお話を考えて下さい。

いわゆるひとつの「バカップル」ですね~(笑)

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夜の海辺

ジョージ。
俺はお前が死んだなんて思えない。

こうして夜の海辺に立っているとフッとお前が帰ってくるような気がする。

なぜならこの海岸で見つかった遺体はお前の両親だけだったから。

お前を埋葬した時も花を投げ入れながら俺はさよならを言わなかった。





朝倉 淳さんは、「夜の海辺」で登場人物が「さよならを言う」、「花」という単語を使ったお話を考えて下さい
・・という淳さんへのお題をいただいて書いてみました。

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夜の坂道

「絶対に離さないでね」
中古のママチャリにまたがった淳はまっすぐ前を見据えてはいたが思いっきり肩に力が入っているのが薄暗い街灯の下でも見てとれる。
18回目の誕生日までに自転車に乗れるようになるんだと1週間前から特訓してきたのだが、もうすぐその誕生日も終わる。
一緒に誕生日を祝おうと淳の家に来たジョーだったが、一緒に映画を見に行くという約束も振られてとうとうこうして一日中自転車の後ろを持たされていた。
「わかってるって、淳。行くぜ!」
そう言うとジョーは夜の坂道の上から淳が乗っている自転車を思い切り押した。

「きゃぁあああぁぁあああ~~~~!!!」

淳の雄叫びとともにママチャリが夜の闇の中に消えて行った。
「じゅ~~~~~ん!!」
さすがのジョーも心配になったのかものすごいスピードでジュンの後を追った。
「ど、何処だ?淳?!」
坂を下りきったT字路のつきあたりでジョーはあたりを見回した。
「ここよ、ジョー」
淳は突きあたりの生け垣の中にママチャリとともに「埋まって」いた。
「やったな、淳。」
右手を差し出すジョー。
「ええ、やったわ。ジョー」
その手をとる淳。

淳はその腕の中で灰青色の瞳が自分だけを見つめているのに気づいた。
そして次の瞬間、二人の唇が重なったのだった。

「お誕生日おめでとう、淳・・」

(おわり)

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