どしゃぶりだった夕べの雨も上がり、早朝の遊歩道を私は一人彼のトレーラーに向かっていた。
道から少し外れた林の中にそれは置いてあったが主(あるじ)は留守だった。
中に入ってみると、濡れたタオルが無造作に置かれていてコーヒーを淹れた跡がある。
あら?これってミルクもあたためたの?そういえばいまさっきシャワーを使ったようだし、タオルも2枚使ってある。
えぇ?まさか?!でも私はベッドの中に「形跡」を探すことはしなかった。いや、できなかったという方が正解かな。
すると、主が口笛とともに戻ってきた。
「どこへいっていたの?」平静を装ったつもりだったがやはり言葉の隅に怒りと悲しみがこもってしまった。
だが彼は極めて冷静にこう言った。
「迷子の子猫ちゃんを送って来たんだ。それだけさ。」
私は彼の澄みきった灰青色の瞳にウソがないことを読みとった。
「それならいいの。私にもコーヒーを淹れて頂戴。」
「その前にオレを疑ったお仕置きをしなくちゃな。」
口角を少し上げて彼が不敵な笑みを浮かべる。私は彼の腕の中で小さな後悔と大きな幸せを感じていた。
があわいこさんは、「早朝の遊歩道」で登場人物が「探す」、「猫」という単語を使ったお話を考えて下さい。http://shindanmaker.com/28927 #rendai
このお話は、廖化さんのお話にヒントを得て書きました。このお話の続きを書くのはこれで2度目です。
廖化さん、いつもすてきなお話をありがとうございます。
この話の元になった廖化さんのお話は
「逢瀬の朝」
http://blog.livedoor.jp/mikadukikichi/archives/3403759.html
わいこが続きを書いた最初のお話は
「猫娘」
http://gawyko2.doorblog.jp/archives/2755088.html

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