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歯がゆいコンドル

「ジンペイ!」
めずらしく血相を変えてゴッドフェニックスにジョーが戻ってきた。
「なんだよー、ジョーのアニキ~。あれっ、兄貴は?」
「それが・・。」
ジョーは健とともに怪しい仏像を調べに行っていた。
甚平はジュンとともに山の周囲を探って、少し前にゴッドフェニックスへ戻って来たばかりだった。
「G-4号機にオレを乗せて一緒に来てくれねぇか?」
「一体どうしたっていうんだい?」
甚平はわざとゆっくり言ってみた。
ジョーが焦っているところなんてめったに見られるもんじゃない。
「いーから、早くしろっ!!」
ジョーの顔が仁王様のようになったのがバイザー越しでもわかる。
次は鉄拳が飛んでくること間違いなしだ。
「はいはい。」
忍者隊の身長差コンビはこうしてG-4号機に乗り込むとジョーが戻ってきた道をまた折り返していった。

「わ~、がれきの山じゃないか。なんだい、こりゃ?」
「仏像の残骸だ。恐い顔のな。」
「え~。ジョーの兄貴より怖い顔なのかい?」
甚平のヘルメットの後ろがガゴン!と鳴った。

G-4号機の先からドリルを出してがれきをかき回しながら進むとその前方に鉄格子が現れた。そしてその前で倒れている白い影が見えた。
「健っ!」
「あ、兄貴~。」
身長差コンビはG-4号機から滑り降りるとそっと健に近づいた。
「兄貴、死んじゃったのかな。」
甚平が健の顔を覗き込む。
「息、してるかな。」
「まさか。ガッチャマンは不死身だろ。」
そう言いながらジョーは甚平が思ったよりも健の顔の近くに顔を寄せたので少しいらついた。

「よし、オレがみる。」
甚平の身体をマントごと少し乱暴に健から引き離すと、ジョーは思い切り健の顔に近寄った。
しっかりと目を閉じたままの健は長いまつげも微動だにしていない。
「健・・。」
めったに見れない健の寝顔だ。
ジョーは生死を確かめるふりをしてその唇に自らの唇を近づけようとした。
いや、甚平がいるからそいつは無理だな。
だったら頬が触れるだけでも・・。

と、その時だった。
ジョーのバイザーがガチン!と鳴った。

(う。くそう、邪魔なバードスタイルだぜ。)

歯がゆい思いを残したままジョーは
「よし、ジンペイ。運ぶぞ。」
と、わざといつもよりもっと低い声で言った。
「え~、このままかい?起こせばいいのに。」
「こんなに気持ちよさそうに可愛い顔して眠っているんだぜ。起こしちゃもったいねぇよ。」
「え?」
「あ。いやいや、こういうときこそゆっくりと寝かしておいてやろうぜ。」
「なんかヘンだなぁ。」
こういう時の甚平は「歳不相応」にスルドイ。
「ジンペイ。余計なことを考えずにだな、脚の方を持てよ。」
ジョーは眉間にいつも以上にしわを寄せた。
「はいはい。イッショウノ、メ。」
「だめだ。そいつはイッセイノォ、セだ。」
「それじゃぁ、力が出ないよ。ジョー。」
甚平は健の足首をつかんだまま両手をだらりと下げた。
「くそう、なんでサブリーダーのオレがオマエに合わせなきゃならねぇんだよ。」
「じゃ、さっきのことお姉ちゃんに言ってもいいかい?」
しまった、やっぱり悟られていたか!?
「わ、わかったよ。ジンペイ。まったく子供だと思って油断してたぜ。それ、イッショウノ、メ!」
「意外と重いね、兄貴。」
「あぁ、いつも軽々と跳んでいるのにな。」

G-4号機でほら穴から出るとすでにゴッドフェニックスは仏像を追って飛び立っていた。
重量オーバー気味のG-4号機だったが何とかうまくオートクリッパーにキャッチされた。

健はまだ気絶したまま今度はジョーに背負われて操縦室まで戻ってきた。
「座席に座らせるかい?ジョーの兄貴。」
そう尋ねる甚平にジョーは先ほどとは態度を一変させて健を床に投げ出すように置くと言った。
「へ、面倒くせぇ。そこにこのまま寝かせておこうぜ。じきに目を覚ますだろうよ。」

(おわり)

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早朝の病院

ついに俺の頭痛の原因がわかった。イルミネーションに彩られた街を一人彷徨いながら思い出す。
夜が明けはじめた頃、早朝の病院へと運んだあの子もサーキットで約束したあの子も結局は命を落とすことになった。
ムコウへ行ったら会えるだろうか?

いや、待っていてくれ。俺にはまだやることがあるんだ。




があわいこさんは、「早朝の病院」で登場人物が「約束する」、「イルミネーション」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927 #rendai

ちょっと苦しいけど書いてみょ~。

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朝の路地裏

いつもは散水車が通るくらいで静かな朝の路地裏が、今日は騒がしい。
窓をあけるとこの寒空に半袖のTシャツ姿の若い男が二人で取っ組み合いのケンカをしているのが花壇越しに見えた。
見るもんじゃないわ。
ママはそう言って私の髪を撫でた。
でも私はずっと見ていたかったの。2番の彼が素敵だったから。




があわいこさんは、「朝の路地裏」で登場人物が「髪を撫でる」、「花」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927

「朝の路地裏」といったらこれしかないでしょ。

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夜のカフェ

午前2時過ぎ。やっと今日もバイトが終わる。深夜のカフェでの仕事にも慣れてきた。外は小雨が降っている。その時長身の若い男性が何処からか逃げてきたかのように店に倒れこんできた。「すみません、閉店なんですが・・。」「すまねぇ。ちょっと頭が痛くて・・。」それが彼との出会いだった。



があわいこさんは、「夜のカフェ」で登場人物が「逃げる」、「雨」という単語を使ったお話を考えて下さい。http://shindanmaker.com/28927

うん、ちょっと面白いかも。

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Trick or Treat?!

「・・っひっく、ぁあ・・。」
季節外れの台風が去った秋の夜。
ジョーはやっとトレーラーに帰って来た。
「おかえり、もう雨はやんだみたいね。半そでで寒くなかった?」
その声にジョーは酔いからいっぺんに醒めた。
「キ、キョーコ!おめぇいつの間に?」
「え?先に帰ってろって言ったじゃない。」
キョーコはベッドの真ん中に座って口をとがらせている。
(しまった。キョーコには場所を教えなくてもトレーラーがどこに置いてあるかわかっちまうんだった。)
と、その時だった。
トレーラーのドアがノックされた。
「だれだ?」
ジョーは眉間にしわを寄せ、するどい目つきをキョーコに向けた。
キョーコは黙って首を横に振った。
「見えているんだろ、教えろよ。」
ジョーはますます険しい目でキョーコを睨む。
しかし、「教えない。私を路頭に迷わせようとしたお返し。」
とキョーコに言われて
「それは・・」と、ジョーは返す言葉がない。
酔った勢いでキョーコのことを適当にあしらおうとしたのは事実だ。
親しき仲にも礼儀ありっていうことか。
「それは?」
今度はキョーコがジョーの瞳を覗きこむ。
ギャラクターの幹部でさえ震え上がるジョーの睨みも今夜のキョーコには通じない。

少し間があってまたドアがノックされる。
フッとキョーコの頬が緩んだ。
「子どもよ。小さな子が二人で・・。お菓子をもらいに来たんだわ。」
「はぁ?」
ジョーの頭の中に疑問符がたくさん浮かんだのが見えるようだった。
(これはさすがのキョーコにも見えないはずだが。)
キョーコは仕切りドアを開けて奥のキッチンからフライパンに乗ったクッキーを出してきた。
「ここはオーブンがないから、こんなのしか作れなかったけど。」
そういって、それをカボチャの絵が描いてある紙袋に入れるとジョーにウィンクしてドアを開けるようにいった。

「トリック、オア、トリート?!」

「うわっ!」
入って来たのはドラキュラとフランケンシュタインだった。
ジョーは思わず後ろへ跳び退くとベッドの上に乗って羽根手裏剣を出した。
「だめよ、ジョー!」
キョーコが叫んだので子どもたちはビクッとして入り口で固まってしまった。
「あ、あ、あ・・ごめんね。」
キョーコはハロウインの仮装をしてお菓子をもらいに来た子どもたちに謝ると、クッキーの入った袋を渡した。
「はい、ハッピー・ハロウィーン!」
「ハッピー・ハロウィーン!」
子どもたちは口々にそう答えるとクッキーを受け取って帰って行った。

「なんだ?ありゃ。」
ジョーはまだベッドの上にいた。
「だから、ハロウィンだってば。」

「へ、ハロウィンってのは今夜みてぇに飲んで騒いだ後に、そこで知り合った子と・・。」
「え?」
(いけねぇ。)
「誰がそんなことをしたのか・し・ら?」
ジョーはキョーコに詰め寄られて落ちるようにベッドから降りた。
だが、すかさずキョーコに抱きつかれてそのままベッドに倒れこんだ。
「トリック、オア、トリート?ジョー。」
「お、俺・・。お菓子は持っていないぜ。」
「じゃ、トリック~~~ッ!!」
キョーコは思い切りジョーの耳に息を吹きかけた。
「わ~っ。キョーコ、やめてくれ~!」
ジョーは長い脚をばたつかせたが、全身から力が抜けていき、首に絡みついたキョーコの腕を振り払うことはできなかった。
「やめな~い。私にジョーのスイート(お菓子)をたっぷりと食べさせてくれるまで、やめな~い。」
「う゛~~っ。」

こうして二人のハロウィンの夜は更けていった。

(おわり)

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