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ネタは

ネタはアレからいただいているので二次創作に入るかもと思いましたが、このジョーはあのジョーじゃないので(笑)一次に入れました。

2010年10月ごろに「があわいこの気ままな生活」へ一時期アップしてあったものです。

加筆訂正したいところもありますが、勢いだけで一気に書き上げた当時の「空気」を残しておきたかったのであえてそのままにしてあります

スクリュードライバー

「僕はジントニックを。彼女にはスクリュードライバーね。」
そう言って河北はバーテンに向かってウィンクした。
「ちぇ、いい歳してみっともないなぁ。あのスケベおやじ。」
だがここでバーテンのバイトができるのは河北の口利きがあってのことだ。
言う通りにするしかない。
スクリュードライバーというのは簡単に言うとウォッカという酒をオレンジジュースで割ったカクテルなのだが、アルコール度数が高い割には口当たりがいいので女性でもぐいぐいイケてしまう。
気がついた時には泥酔状態ということになる別名「レディーキラー」だ。

今夜も彼女の酔いがまわったところで「お持ち帰り」するつもりなんだろう。
冷凍庫からウオッカを取りだしたところで河北と目があった。
カウンター越しにちゃんとウオッカを入れているか監視してやがる。
 ジントニックとスクリュードライバーをカウンターの上に置くと河北はいそいそと彼女のところへそれを運んだ。
すでに肩に手をまわしている。
また「女優にしてやる」なんてうそぶいているんだろう。
確かにちょっとあやしい劇団の主宰者ではあるが。

「おい、休憩。替わるぜ。」
先輩バーテンダーにそう言われてことの成り行きを心配しながら一服しに屋上へ上がっていった。

 屋上から戻ると河北の姿が無かった。
テーブル席に帰り仕度を済ませた先輩バーテンダーとその友人がいるだけだった。
「あれ?」
「しこたま酔っ払ってタクシーで帰ったぜ。オレもお先するぜ。」
そうか、もう行っちまったんだ。早かったなぁ。
一人になった店内はいつもより広く感じる。
その時、化粧室のドアが開いて彼女が出てきた。

「はぁ~?誰もいないじゃん。」
「お、お客さん。川・・いや、お連れさんは?」
「あ~んの、オジさん。酔いつぶれてタクシーに乗って帰った。」
けらけらっと笑う。

「ねっ、あんたアルバイト?」
「はい・・。」
「ふ~ん。やっぱ役者を目指してんの?」
「まぁ・・。」
「そう?ふうん。あんたいい目をしてるわ。ジョーって呼んでいいわね。」
「はぁ?」
「私のことはミアって呼んで。」
やっぱりこの子も酔っているのか?でもなんか面白そうだ。
 カウンター席に座りなおすとミアは続けた。
「ジョー。こんなところのバイトなんてイヤんなることもあるだろうけどさ、気持ちの持ちかたで気分も変わるのよ。そうねぇ、ここのバイトは世間を欺く仮の姿で・・ジョーは本当は悪の組織と戦う正義の味方なの。世界征服を狙う悪者から地球を守っているのよ。」
「プッ。」
「あら、吹かないで。お客の話をちゃんと聞きなさいよ。」

その時ドアチャイムがカラコロと鳴ってお客が4~5人入ってきた。
「いらっしゃいませ。」
迎えたのはミアだ。
「どうぞ、こちらへ。お荷物はこちらの棚へどうぞ。」
慣れた手つきで、お絞りとメニューを差し出す。
「おや、女性のアルバイトさんとは珍しいね。」
「あら、見かけで判断したらいけませんわよ。」
「そうか。そういうお土地柄だったね、ここは。」
ワハハと場がなごむ。

「モスコミュール、カミカゼ、シンガポールスリング、マンハッタン、サイドカー・・」
ジョーがジンやウォッカのボトルをカウンターに出すと、ミアがそれぞれのグラスを出す。
「サンキュ、ミア。」
「どういたしまして、ジョー。」
 だが、ひとしきり話をしたお客が店を出た途端、ミアはへなへなとテーブル席に腰を下ろした。
「どうした?ミア。」
「酔いが回ってきた・・」
「いまごろかよ!オレは帰るぜ。」
「つ・・連れてって。ジョーの家に。」
「バ、バカいえ。」
「何もしないからさ。」
「それって普通は男のセリフだぜ。」
ミアはまたけらけらっと笑うと携帯を取り出した。
「もしもし、スナックJの前に一台お願いします。」
だが、タクシーが店の前に来た時にミアはすでに眠っていた。
店に置いておくこともできずにジョーはミアを連れてタクシーに乗り込んだ。

 布団からはみ出た脚がスースーしてジョーは目が覚めた。
隣りでミアはまだ寝息をたてていた。
白くて細い背中が見える。寒くないんだろうか?
布団をかけ直そうとしたらミアが寝返りをうってこちらを見た。
「ねぇ、ジョー。」
「夕べの話、誰の脚本?」
「脚本じゃねぇよ。ホントの話さ。」
「中学生で、おマセだったのね。」
 ジョーが中学3年の時に隣りに住んでいた幼なじみで同じ中学の女の子と、お互いの身体を見せ合おうとした話をミアは最初、本気にしなかった。
「だって小さいときは一緒にお風呂に入ったんだぜ。」
それが原因かどうかはわからないがその後すぐにその女の子は引っ越していったという。
「夕べお前を抱いていた時ふと思い出したんだ。すまねぇ。」
「いいのよ、ジョー。普通なら誰にも言わない話をしてくれて、かえって嬉しかった。」
お互いの身体を引き寄せると横になったままキスを交わした。
ジョーの手がミアの胸に、ミアの手がジョーの下半身に触れ、吐息の中でもう一度キスを交わした時だった。

ジョーの携帯が鳴った。
ジョーは携帯に出ずにスイッチを切った。
「呼び出しだ。」
「どこから?」
「地球の危機だ。」
「ぷっ。」
「吹くなよ。一晩泊めてやった恩を忘れたのか?」
「わかったわ。また会える?」
「あぁ、生きて帰って来たらな。」

ジョーが出て行った後、ミアはその部屋の掃除を少ししてからその正義の味方の部屋を後にした。

(おわり)

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