「まったくもう。」
ジョーとキョーコは初日の出を見ようとユートランドの街中(まちなか)から海を目指してG-2号機を駆るはずだった。
「すまねぇ、キョーコ。うっかりしてた。」
変身した後のG-2号機ならバッチリ飛ばせるから出かけるのはゆっくりでいいと思っていたが、座席が一つだということを忘れていたのだ。
久しぶりのデートで二人とも舞い上がっていた。もはやケンカをする力もないほど脱力してしまった。
「仕方ねえ、普通に朝の海辺へ行くか。」
初日(はつひ)が上った海はきらきらと輝いてまぶしかった。そして空には鳥が一羽舞っていた。
「あ、コンドル!」
「バ~カ、あれはトンビだよ。」
「なんだ、知っているんだ。」
「ちぇ、バカにしやがって。」
「・・私、トンビよりコンドルの方が好きだな。」
「ふんっ。」と、ジョーが鼻先で笑ったその時だった。ジョーのブレスレッドが鳴った。ジョーの目が猛禽類のそれに変わったかと思うと、あっという間にG-2号機に一人乗りこんだ。
「ジョー!まさかとは思うけどさ~!」
「すまねえ、キョーコ。そのまさかだ。電車で帰ってくれ。」
「うっそ~。元日だよ!」
「恨むならギャラクターを恨むんだな。」どこかで聞いたようなセリフと切り返しのタイヤ音を残してジョーは去っていってしまった。
「あ~あ。」一人海岸に残されたキョーコの頭の上をピーヒョロロ~とトンビがくるりと輪をかいていた。
(おしまい)
恋愛お題ったーから
があわいこさんは、「朝の海辺」で登場人物が「ケンカをする」、「鳥」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai

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