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があわいこの文字置場

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 教会の裏口がノックされてアラン神父がその扉を開けると市長とSPが二人入ってきた。
「ギャラクターが何の用かね?」
市長の後ろにいる二人が申し合せたように「チッ」と舌打ちした。
市長は落ち着いた様子で冷たい微笑みを浮かべると口ひげが少し曲がった。
「ご挨拶だな、神父さん。ちょっと知らせとお願いがあってきたのだ」
「懺悔する気になったのかな?市長さん」
黒いスーツに黒いサングラスをした後ろの二人がアランに飛びかかろうとするのを市長が抑えた。
「今朝、墓地にこの土地のものではない怪しい男が来ましてね」
市長はアランを睨みつけて続けた
「カッツェさまがジュゼッペ浅倉の息子ではないかとお疑いなのだ」
「なに!?」
アランははっとした。
市長はニヤリ顔でアランに迫る
「君はジュゼッペの息子ジョージとは親しかったようだな。そこで会って欲しいのだその男にな」
「断ると言ったら?」

アランの言葉を待っていたように市長は顎でSPに合図をした。
SPが乗ってきたリムジンの窓を開けるとそこにはアランがよく知っている女性の顔があった。
白いタオルで猿轡をされ後ろ手に縛られている。
「彼女はお前に不審な男と会って話をして欲しいようだぞ」

アランには市長の銃が突き付けられていた。



「彼女は私の婚約者だった」

そういうアランの言葉を聞いてジョージは平静を装っていたが動揺は隠せなかった。

ジョージ浅倉はコンドルのジョーだ。

アランは確信した。
だが、そんなことを確かめたためにジョージを傷つけてしまった。

その写真の子はアランの婚約者でも何でもない。ギャラクター隊員の子だ。
ギャラクターを抜けてレーサーになりたいとは言っていたそうだが。
写真はジョージを罠にかけるために市長が用意したものだ。

アランの本当の婚約者はギャラクターに捕われている。

 アランは10年ぶりに再会した幼馴染みの前で一世一代の大芝居をした。
身体のどこからか違う人間が入り込んできたかのようだった。自分が自分でないような気がした。
もう後戻りはできない。
その思いがアランを駆り立てた。
難しいと思っていたのにセリフも態度もコンドルのジョーに婚約者を殺されたアランになりきっていた。

だがアランは心の片隅で決心していた。
これから市長が待っている「学校」へ行ったらあの男はジョージではなかったというつもりだ。

 廃校になって荒れ果てている教室には古い机と椅子がいくつか転がっているだけでざらついた床から砂煙が上がっている。
黒いスーツ姿のSPを従えた市長が懐から葉巻を取り出すとさっとSPがライターをを差し出す。
「どうだったね?神父さん」
紫色の煙を吐き出しながら市長は尋ねた。
「残念ながら彼はジョージ浅倉でもコンドルのジョーでもなかったよ、市長さん」
アランは真っ赤になっている葉巻の先を見つめながら答えた。

「そうかね?それは残念だった。カッツェさまにもそう報告しておこう。ところで・・」
「彼女は!?彼女は無事なんだろうな!?」
市長の言葉をさえぎってアランは詰め寄った。
SPがアランに銃口を向ける。
「もちろんだよ、神父さん。ついでといってななんだが、もう一つだけ仕事をしてもらおうと思ってね。」
「何?」
アランの顔が引きつる。
「幼馴染みのジョージではないとしてもあの男はギャラクターに何かしらの恨みを持っているようだからこの際、片づけてくれないかね?神父さん・・おい」
市長がSPに声をかけるとその一人がライフルを市長に渡した。
「ことが済めば神父さんは晴れてあのと結婚できるな」
そう言うと市長はアランにそれを手渡した。
アランの手には神父には似つかわしくないものがずっしりと握られていた。

 ライフルを隠し持って教会へ向かう道すがらアランは後悔の念に駆られていた。
「市長はもう墓参りに来た男がジョージ浅倉だとわかっていた。私を試したのだ。」
市長のあの様子から見て彼女はもうこの世にはいないだろう。
「婚約者の自分ではなく10年前に別れたきりの幼馴染みを庇った私のことを恨んで逝ってしまったに違いない・・」
そう考えると胸が張り裂けそうになる。
 アランはジョージが生きていると信じていた。そしてもう一度ジョージに会わせて欲しいと神に祈ったこともある。
願いは叶ったがその代償は大きすぎた。

 まっすぐ教会へ向かう気になれなかったアランは途中でオリーブ畑に入り込むと樹の根元に座り込んで空を見上げた。
白々と夜が明けようとしている。
ジョージに不吉なリュウゼツランの花のことを話したのが遠い昔のような気がする。
「こんな再会の仕方になってしまって悔しいが、ジョージが生きていて嬉しかったよ。私もギャラクターがどんな連中かはよく知っているつもりだ」

そう一人つぶやくとアランはライフルを取り出し銃口を自分に向けた。
だがトリガーに指がかからない。

「ふっ、ふっ、ふっ・・」
アランは皮肉な笑い声を上げた。
そして一発だけ装填されていた銃弾を取り出して遠くへ投げ捨てた。

 オリーブ畑を抜けると教会が昇る朝日に照らされていた。
教会の裏口に着くと科学忍者隊が礼拝堂でギャラクター相手に暴れまわっているのが見えた。
あの様子では市長らも責任を取らされるだろう。自業自得だ。

聖職の身でありながら嘘をつき続けてジョージを傷つけてしまった。婚約者も喪った。
だがその嘘ももうすぐ終わる。
「私を婚約者のもとへ連れていってくれるのはジョージ・・いやコンドルのジョーか?ガッチャマンか?」

アランはゆっくりと正面の入り口へ回るとジョージを囲んでいる忍者隊に声をかけた。


(おわり)
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