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無題

2016年10月31日に滑りこみで書いたハロウインフィク。

ハロウィンのお菓子

「トリック、オア、トリート!!」

背丈は低いがジョーより怖い顔をした三人組がそう口々に叫びながらスナックジュンの扉を開けて入ってきた。
カウンターで水を飲んでいた健は目にもとまらぬ早業でジャンプ!天井に貼り付くと様子をうかがった。
(まさか、ギャラクターじゃないだろうな)

「あれ?誰もいないな」
フランケンシュタインが顔に似合わないかわいい声でそう言った。
「いつもきれいなお姉さんがいるんだけどな」
ドラキュラがそう答えた。

(きれいなお姉さん?誰のことだ?)
ますますわけがわからない健はズボンの隠しポケットに手をやった。いつでもブーメランを飛ばすことができる態勢だ。

「仕方ないな。もう一回りしてから来よう」
狼男がそう言うと三人組はおとなしく出ていった。

その時、キッチンの奥からジュンの声がした。
「ケーン!ハロウィンのクッキーが焼きあがるから子供たちが来たらあげてね♪」
(クッキーだって?ジュンが作ったのか。肝試しに使うのかな。まぁ、残しておいても竜が来ればあっという間に片付くだろう)

健は何事もなかったかのようにカウンターの席に戻ると水を一口飲んだ。

「ところでジュン。そのハロウィンとか言うのは何だ」
「やーねー、健ったら。去年もやったじゃない。子供がお菓子をねだりに家々を回ってくるのよ」
健の目が光った。
「そいつはいいことをきいたぞ。おい、ジュン。18歳はまだ子供だよな」
「まぁ!意地汚い」
ジュンの眉間に皺が寄った時だ。

「トリック、オア、トリート!!」
さっきとは違う三人組が入ってきた。

「なんだ。甚平はいいとして竜とジョーはどう見ても子供には見えないぞ」
ニヤリとした健はそういって甚平にジュンのクッキーを渡した。
「あー、兄貴、俺はいいからさ。」
「あら~、甚平お坊ちゃまが珍しい。オラがいただくぞい」
あっという間にクッキーは竜の口の中に消えた。
「おい、リュウ。大丈夫か?それ、ジュンの手作りだろう?」
ジョーが鋭いまなざしを残りのクッキーに向けた。
その時!
「ブッハ~~!み、水、水!」
竜は健が飲み残したコップに突進した。
「そらみろ、いわねぇこっちゃない」
ジョーがそう言って高笑いした。
「いくらハロウィンでもこれはないわー」
竜がため息をついたとき、5人のブレスレットが一斉にスクランブルをキャッチした。

「ちぇ、ハロウィンの夜に本物の悪魔がお出ましだぜ」

健を先頭に5人の若者は風のようにスナックジュンを後にした。

(おわり)

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