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No title

初出はGATCHAMAN Fan Fictions' (2010.12.22. )
2010(平成22)年のクリスマスフィクとして。

南部響子のブログILoveGeorgeAsakuraへも同時掲載しました。

以下の疑問を自分なりに妄想してみました。

・結婚できないはずの神父(アラン)になぜ婚約者がいたのか?

・アランがわざとジョーに撃たれた理由

・コンドルのジョーが婚約者を殺したということをなぜ知っていたのか?

2010-12-24 00:32

No title

12/24拍手してくださった方へ

情報ありがとうございます。
宗派によって違うのですね。

2010-12-25 12:28

復讐するは我にあり

   婚約者が死んでしまったその年のクリスマスにアランは牧師から神父へと改宗した。
生涯を共にできる人はソフィア以外にいないと思ったからだ。
もう一生誰とも結婚を考えることはないだろう。ならばいっそのこと生涯を神にささげようと決心したのだ。

 実はアランはもともと神父になろうと修業を重ねていた。
十年も前のことだが、突然遊び友達だったジョージが死んだと聞かされてからというものアランの荒れようといったらそれはひどいもので、とうとう未成年者ながら逮捕されてしまったのだ。
そのとき、身元引受人をかって出てくれたのが神父だった。
アランは教会の修道僧として将来の神父を目指し、教会に住み込みで働き始めた。

 そんなある日の夜も更けた頃、アランはろうそく一本の灯かりを頼りに礼拝堂の掃除をしていた。
本来なら昼の間にやっておくのだが、その日は神父とともにブドウの収穫を手伝いに行っていてできなかったのだ。
すると、そっと礼拝堂のドアが開いて誰かが入ってきた。
「どなたかね?」
アランはちょっとだけ神父の真似をして言ってみた。
するとその人影は懺悔室へと音もなく入っていった。
アランは神父へ連絡しようかと思ったが、好奇心から自分がそこへ入ってしまった。

「神父さま。」
その声は聞き覚えのある少女だった。

「ソフィア、ソフィアじゃないか。どうしたんだ?今頃。」
驚いたソフィアは顔を上げて仕切りの向こうにいるアランの顔をじっと見つめた。
「あ、アラン・・?」
逃げ出すかと思ったソフィアは意外にもホッとしたような顔で金網の向こうのアランに話し始めた。
「私、ギャラクターを抜け出したいの。でも一人では何もできない。パパもママもギャラクターだから、私だけが抜け出すことなんてできないわ。」
そんなソフィアにアランは自分の気持ちがしっかりしているのなら当たって砕けろ、上司にあたる女隊長さんとやらに直訴してみたらどうだ、きっと神様が守ってくださると言って励ましたのだった。

 それからというものソフィアは夜になると毎日のようにアランの元へ「懺悔」にやって来た。
それに気づいた神父が問いただすと、アランはこれまでのいきさつを話し、ソフィアの力になってやりたいのだと熱く語った。
神父はアランとソフィアが愛し合っており、すでに男女の関係になっていることを察知した。
そして、どうしてもソフィアを守りたいのなら神父ではなく牧師になって彼女と結婚するべきだとアドバイスしたのだった。


 季節風と近くを流れる寒流のおかげで狭い島ながらそこだけは夏でも冷たい風が吹いて島民の間で避暑地として使われていた海岸。
そこは10年近く前、ジョージが両親とともに銃殺されたと聞いたところだ。
アランはそこにソフィアと一緒に暮らすための小さな牧師館を建てようとしていた。
自分がここにいたらジョージがひょっこりと還って来るような気がしたからだ。

 小さいが誰でも訪ねて来られる明るい教会を作りたい。
貧しい家の子供たちを集めて文字を教え、聖書や他の本を読めるようにしてやりたい。
そうアランは将来の夢をソフィアに語った。

 ソフィアもアランの言う通りに女隊長にギャラクターを抜けたいと直訴していた。
恋する女に怖いものはない。
ソフィアの申し出に女隊長はある条件を出してきた。
そして、ソフィアはためらわずにそれを承諾したのだった。

「本当に大丈夫なのか?」
心配するアランにソフィアは微笑んで応えた。
「えぇ。女隊長が約束してくれたわ。これが最後の仕事だって。私はお母さんに教えてもらった技があるの。だれにも負けやしないわ。」
「そうか。頑張るんだよ、ソフィア。」
アランはソフィアの小さな肩を抱いた。

 ソフィアがその最後だという仕事に出かける前の日に二人は出来上がったばかりの小さな『自分たちの』教会で婚約式を行なった。
これからは二人でともに分かち合い、生きていくのだ。
誰が見てもお似合いの二人だった。
ソフィアが仕事から帰ってきたらすぐに結婚しよう。
そしてこれから二人で幸せになろう。二人の未来はまさにバラ色に輝いて見えた。



「アラン、アラン・フェリーニさんですね。」
婚約式の日から二週間ほどたったある土曜日の夕方、明日の礼拝の準備をしているアランの元を背の高い女性が訪れた。
金髪の長い髪を耳の横で束ねている。
「はい、アランは私ですが。」
「2号・・いえ、ソフィア・モンレールさんのことでお話が・・。」
「・・!・・。」

アランのいやな予感は的中した。

 ソフィアが死んだと事務的な口調で告げる女にアランはそんなことは信じないと言い張ることしかできなかった。
だが、さらにその女は冷たく言い放った。

「私はちゃんと見ていたのですよ。ソフィアは私どもの組織から抜けたがっていまして、これが最後の仕事になるはずでした。科学忍者隊のコンドルのジョーを捕まえてしまえば彼女は自由の身。あなたと結婚するのを楽しみにしていましたのにねぇ。」
「科学忍者隊?コンドルのジョー?」
「そうです。ソフィアはコンドルのジョーを捕まえようとして逆に捕まったのです。『私を許して逃がして欲しい』と懇願する彼女の胸めがけてジョーは羽根手裏剣を撃ち込んだのです。」
「なんだって?!」
「血も涙もない冷酷な人間ですわ。コンドルのジョーは。」
女は耳の下で髪を束ねている星型の飾りに手をやりながらそう吐き捨てるように言った。
「もういい。帰ってくれ。」

 ギャラクターの女隊長は、アランの言葉を聞くと冷たい微笑を浮かべ
「わかりました。では帰らせていただきますわ。」
そう人ごとのようにつぶやいて牧師館から去っていった。

「ソフィア・・。」
人間というのはあまりにも悲しいと涙が出ないというがまさにアランがそうだった。
ただ、「ソフィアは科学忍者隊のコンドルのジョーに殺された・・」
そう何度もつぶやくのだった。

 その次の日、アランの小さな教会では日曜礼拝が行われなかった。
そしてその夜、教会から海へと向かって歩く人影があった。
アランの身体は胸まで海につかり、大きな波がアランを呑み込みそうになる。
もうすぐ脚が立たなくなるだろう。

「・・アラーーン・・」
どこからか自分を呼ぶ声がする。
もしかして・・ジョージ・・?・・お前なのか・・?

 その時アランはガシッと強い力で抱きかかえられた。
「アラン、何をしているんだ?」
「し、神父さま・・!?」
朦朧とした意識がハッと戻った。

「ソフィアが亡くなったと聞いてお悔みを言おうと訪ねてみたら、今日の日曜礼拝がなかったというじゃないか。それで心配になって探しに来たのだよ。」
懸命に走ってきたのだろう、神父は荒い息づかいの中で休み休みそう言葉をつなげた。

「私の名前を呼んでいたのは神父さまだったのですね。」
「ああ。間に合ってよかった。」
ポンと神父に肩をたたかれて、アランははじめて声をあげて泣いた。
「うぅ・・うわーーっ・・」
 頭一つも神父より大きなアランが小さな子供のように神父にすがりついて嗚咽を漏らした。
暗い夜の海で二人はずぶぬれだった。
「そうだ。思いっきり泣くがいい、アラン。ここなら波の音がすべてを消し去ってくれる。」
神父はアランを抱きとめ、その背中をなだめるように優しく叩いた。
「自らの命を絶つということは神に逆らうことだ。もし死にたいのなら・・」
「死にたいなら・・?」
「・・殺してもらうしかない・・。」
「殺して?」
アランは神父の意外な言葉に驚いてほの暗い月明かりの中でその顔を見なおした。
 神父はふっと息を吐くと沖合いを見つめながら続ける。
「私だって人間だ。死にたいと思ったこともある。誰かライフルで私を撃ってくれないかとさえ思うほどにね。」
神父のような人でもそんな風に思うことがあるのか・・。それとも自分を励まそうとしてこんな話を・・?

 神父はアランの両肩に手をやると
「だが、君はまだやることがある。子供たちが君に勉強を教わりたいと待っているじゃないか?」
そう言いながらアランの身体を揺さぶった。

 そして今度はアランの手を取り片方の手でその手の甲を軽く叩きながら
「君は新約聖書、ローマ人への手紙、第12章第19節を知っているね。」
そう問いかけてきた。
「はい、神父さま。」
「言ってごらん。」
「あ・・愛する者よ、自ら復讐するな、ただ神の怒りに任せまつれ。(しる)して『主いい給う。復讐するは我にあり、我これを報いん』・・。」
 神父はもう一度、アランの顔を見た。
「教会学校の子供たちにはわかりやすく言ってやらねばならんよ。さて、なんと言う?」
アランも神父の顔をじっと見つめて言った。
「愛する者たちよ、自分で復讐しないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜならば、「主が言われる。復讐は、わたしのすることである、わたし自身が報復する」と書いているからである。」

「うん、うん・・。」
神父は眉を寄せ、目を細めると何度もうなずいた。

その後、二人は無言で海からあがると、牧師館へと消えていった。

THE END

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